応援するチームの優勝が見たいのは、どの球団のファンにとっても同じです。
シーズンが終わり、ストーブリーグが始まれば、来季のチーム構想と選手補強の話題はオフシーズンの楽しみの一つでもあります。
FA市場で実力のある選手を獲得して補強するのもいいですが、ファンとしては”生え抜き”の若手選手の台頭の方が感情移入しやすいというのもまた事実でしょう。
新人選手が苦しみながらも成長し、やがてチームの主力として活躍する姿を見守るのは野球ファンの醍醐味の一つです。
長らく球界の盟主として君臨してきた巨人も、FA市場では毎度有力選手を積極補強し、”金満”と非難されることもありましたが、同時にファンは生え抜き選手に多くの愛情を注いできました。
近年でも、坂本選手、阿部選手、長野選手に内海選手と、生え抜き選手たちはファンからは絶大な人気がありました。
しかし、阿部選手以来は生え抜きのホームランバッターがなかなか現れませんでした。
90年代から2000年代初頭は、松井秀喜選手が4番に据わっていましたが、長らく生え抜きの4番が出てこなかったことに寂しさを感じていたファンもいたことでしょう。
そこに現れたのが岡本和真選手です。
プロ4年目となった2018シーズン、岡本選手は開幕から1軍に定着すると、6月には4番に抜擢され、シーズンを打率.309、33本塁打、100打点の大活躍でシーズンを終えました。
1軍定着と大ブレイクを同時に果たした岡本選手は、その年俸も大ブレイク。
その年俸は前年から567%アップの推定年俸8000万円(1200万円→8000万円)で契約更改しました。
この年俸の上げ幅は球団史上最高となりました。
2014年に、奈良県の智弁学園からドラフト1位で巨人入りした岡本選手でしたが、これまでの3シーズンはとても苦しんでいる印象でした。
岡本選手はいかにして大ブレイクに至ったのでしょうか。
■ENEOS 侍ジャパンシリーズ2019 出場コメント #岡本和真 選手
「選ばれた事に感謝していますし、大変光栄です。自分の持ち味を出せるように精一杯頑張ります」https://t.co/vKwcgDcLAo#侍ジャパン pic.twitter.com/P2SS1MEl6l— 野球日本代表 侍ジャパン 公式 (@samuraijapan_pr) 2019年3月6日
岡本和真が覚醒したといわれるようになった経緯
アマチュア時代に実績を残し、高く評価されてきた選手でも、プロの世界で苦しむのは珍しいことではありません。
それも、巨人のような人気球団からドラフト1位指名を受けての入団ともなれば、そのプレッシャーはさらに大きなものとなるでしょう。
常に優勝が求められる巨人では、スタメン争いも過酷です。
1軍に上がっても、FAで移籍してくる、実績のある大物選手たちとのポジション争いに勝たなければならないのです。
さらに、すぐに成果が求められるため、若手選手にとっては過酷な環境です。
現在は日本ハムでプレーする大田選手も、長らく期待をかけられていましたが思うようにならず、移籍で環境を変えたことによりプレーする機会も増えました。
岡本選手も入団当初は怪我でつまずき、1軍に上がっても期待された活躍ができないでいました。
高校時代からその長打力を買われていた岡本選手は、将来の4番候補として期待をかけられてきました。
2軍では2年目から4番に固定され、2軍での成績はよかったのですが、いざ1軍に上がると自分のバッティングができません。
当時の岡本選手には1軍の選手の壁は厚かったようですが、巨人特有のプレッシャーも手伝っていたと思います。
2017年、同じ右打者のマギーの加入により、状況が難しくなります。
岡本選手は現在は一塁手ですが、当時は阿部選手が一塁手を守ることが多かったため、首脳陣によって左翼守備に取り組まされます。
慣れない守備位置での起用もあり、打撃も思うように打てず、シーズンの大半は2軍で過ごしました。
2018年は、キャンプでフォームの改造を行い正一塁手も獲得すると、シーズンを通して活躍し、自身初となる3割30本100打点を達成して大ブレイクしました。
この劇的な変化はいかにしてもたらされたのでしょうか。
岡本和真がホームランを量産できた理由とは?
技術面でも変化がありました。
ダイエーやソフトバンクで活躍した野球解説者の柴原氏は、岡本選手のスイングがコンパクトになったことを指摘しています。
以前の岡本選手のスイングは、ホームランを打ちたいがために過度に大きくなっていました。
ボールまでのスイングの軌道が遠回りしている形になってしまい、その分ボールへのインパクトまで時間的なロスが生まれます。
このロスがズレとなり、思うようにボールを捉えられない原因となっていたのです。
2018年の春季キャンプでは、二岡バッティングコーチからグリップの位置を下げるアドバイスを受けたそうです。
大きく振りたいがために、バットを高く構えたくなりますが、グリップの位置を下げることでコンパクトなスイングを促したようです。
ボールへ最短でスイングできるようになったことで、ボールを長い時間見れるようにもなりました。
これによって、これまで課題でもあった選球眼も改善し、バッティング全体が向上しました。
この選球眼の改善は数字にも表れています。
2018年の岡本選手の打率は.309でしたが、出塁率は.394でした。
これはボールをしっかり見極めて四球を選べるようになったからです。
ストライクゾーンの甘い球は見逃さず捕らえ、ボール球はしっかり見逃す。
フォームの改造によりこれができるようになったため、成績が劇的に良くなったのだと考えられます。
2017年のオフには、6度のホームラン王のタイトルを獲得している、”おかわり君”こと西武・中村剛也選手と合同自主トレを行いました。
この合同自主トレで、岡本選手が中村選手から受けたアドバイスは「滞空時間の長い、品のある打球を打て」でした。
具体的には、「右足に体重を残して骨盤から回す。右手は添えて押し込む」というものだったそうです。
岡本選手は太腿周りが63cmもあるほどの強靭な下半身を持っています。
この下半身の力を正しく使ってボールに伝えることができるようになったことも、ホームラン量産に繋がったと考えられます。
岡本和真逆方向へ見事なサヨナラ2ラン! pic.twitter.com/CRJW3BhrRL
— ひ ろ @3/12北九州 (@hiroG_official) 2019年3月2日
巨人の若き主砲岡本和真が覚醒!ホームランを量産できた理由は?まとめ
岡本選手のブレイクは、地道な努力による技術面の改良によってなされたことが分かりました。
技術面で確信が持てたことにより、精神面でも余裕が生まれて、プレッシャーにも対処できるようになったのでしょう。
しかし、22歳の若さで巨人4番をこなす精神力はさすが大物です。
打てて当たり前、打てなきゃバッシングを受ける巨人の4番は、並大抵の精神力では務まりません。
そして満22歳での100打点達成は、1996年の松井秀喜氏の記録を抜いて、最年少記録でもありました。
巨人ファン待望の生え抜きスラッガーは、名門を復活に導くことができるのでしょうか。
コメントを残す