クレイジージャーニー前衛芸術家篠原有司男と妻・乃り子がスゴイ!ボクシング・ペインティング

5月16日の『クレイジージャーニー』は、現代美術家の篠原有司男さんがゲストでした。

篠原有司男(しのはら うしお)さんは、1932年生まれで現在87歳、東京都のご出身です。
本名は牛男(うしお)、父は詩人、母は日本画家という家庭に生まれ育ちました。

麹町の立番小学校から日本大学第二工業学校へ。
戦時中は疎開しており、戦後は麻布中学校に通ったそうです。

1952年に東京芸術大学美術学部油絵科に入学しましたが、1957年に退学しました。
以降は、前衛的な作風で本格的な芸術活動を開始します。
1960年代には日本で初めて「モヒカンにした人」として、雑誌に取り上げられたこともあるそうです。

篠原さんの代名詞ともなっている「ボクシング・ペインティング」は、元々はマスコミ向けのパフォーマンスだったそうです。

1969年からは、奨学金を得て妻子と共に渡米。
1973年に現夫人の乃り子さんと結婚しています。

その後はニューヨークを拠点とし、発表は日本というスタイルで活動を続けました。
アメリカで篠原さんが評価されるようになったのは、90年代以降です。
それ以前のアメリカのモダンアート界では、アジア系などのマイノリティは認められない構造になっていたそうです。

篠原さん夫妻の活動と生活は、ドキュメンタリーの題材にもなっており、2013年に公開されたドキュメンタリー映画『キューティー&ボクサー』は、サンダンス映画祭ドキュメンタリー部門監督賞を受賞しました。

前衛芸術家、篠原有司男さんの『クレイジージャーニー』を振り返っていきましょう。

“前衛芸術家篠原有司男”『クレイジージャーニー』の番組放送内容は?

”前衛芸術家篠原有司男”がニューヨークで50年戦い続ける理由

芸術観について語る篠原さんは、とても87歳の方とは思えません。
言葉を言いよどんだりすることなど全くなく、一般の50代や60代の方よりもハキハキと話される姿が印象的でした。
エネルギーやバイタリティ溢れるとは、こういう方を指すのだなと感じました。

  • 篠原有司男さん(通称:ギュウちゃん)は87歳の現役前衛芸術家
  • 妻・乃り子(のりこ)さん(65歳)も芸術家
  • 前衛芸術とは、「既製の概念や形式を否定し、革新的な表現を目指す芸術の総称」、だそうです(”何か新しい”とか”ニューウェイブ”的なニュアンスでしょうか)
  • 岡本太郎や草間彌生も前衛芸術
  • 篠原さんの代名詞は、巨大なキャンバスにボクシンググローブで殴りつけて描く「ボクシング・ペインティング」
  • 篠原さんは「ボクシング・ペインティング」を1960年代からやっている(現在再注目されている)
  • 篠原さんの個性的なアートには、650万円の値が付いたこともある
  • しかし、いつもコンスタントに作品が売れるわけではない
  • 経済状態はいつもギリギリ
  • それでも芸術に突き動かされ続けている(描かないという選択肢はない)

今回は熱いですね。
今週の放送を見た、多くの視聴者も感じることがあったことでしょう。
しかし、「アマゾン」とか「スマトラ」という単語がないだけで、こんなにも見やすいんですね。

篠原さん夫妻が活動の拠点としている、アメリカ・ニューヨークが今回の舞台です。

  • 自宅兼アトリエへ
  • 出迎えた篠原さんは、とても快活な方(足腰もしっかりしている)
  • 白髪のお下げにしている奥様も個性的(お下げには不思議と違和感がない)
  • 1Fに入り口、2Fはキッチン・ダイニングと乃り子さんのアトリエ、3Fが篠原さんのアトリエになっている(とても広い、アパートではなく、アトリエの一部を生活スペースとして利用している)
  • ”少女の絵”で知られる奈良美智さんの落書きがあったりする
  • 長男で画家の篠原アレクサンダー空海さん(45歳・画家)も帰省していた
  • 今も毎日アトリエで作品を作り続けている
  • ニューヨーク生活が長く(篠原さん50年、乃り子さん46年)、日本の芸能界には疎い(ダウンタウン松本さんの事も知らなかった)
  • その代わり、作家の司馬遼太郎、俳優・勝新太郎、漫画家・赤塚不二夫が自宅に来たこともある
  • 石原慎太郎とは家族ぐるみの付き合いがある
  • 夫妻は41歳、19歳の22歳差で結婚
  • 小さなケンカは絶えないが円満
  • 篠原さんはアート以外は全然ダメ(「スパゲッティって洗うんだっけ?」)
  • とにかくエネルギッシュで楽しそう
  • でも経済的には大変
  • 家賃は月50万円

”前衛芸術家篠原有司男”の作品作りに密着

エネルギッシュで明るく楽しそうな二人ですが、芸術家としての生活は苦難の連続でもあったようです。
それでも二人はアートから離れようとはしませんでした。

篠原さんの新作作りにも密着しました。

  • テーマは、白土三平の漫画「忍者武芸帳 影丸伝」(「本能寺の変」後の日本を描いた漫画、篠原さんのお気に入り)
  • 剣豪が「疾風剣」で2人の敵を蹴散らすシーンを描く
  • 剣豪を「鳥獣戯画」のウサギにする(篠原さんはウサギも大好き)
  • 87歳で衰えないイマジネーション
  • 自分でも見えない完成形に挑戦するのが面白く楽しい
  • 今でも未知に挑み続ける
  • 大きなキャンバスに描いていくが、すごい雑に見える
  • 途中からは筆を捨て、手で直接描いたり、スポンジで描いたりしていく
  • 最後はボクシング・ペインティング
  • でも絵が形になっていく、よく分からないけどエネルギーがすごい
  • 感情のおもむくままに描いていく(どう見られたいとかは考えない)
  • 絵は見る側との共同作業というのが、篠原さんの持論
  • 今描いた絵が、50年後に評価されるかもしれない(ボクシング・ペインティングもそうだった)
  • サインを入れて完成
  • 改めて87歳という年齢を考えると、ちょっとしたビックリ映像

次は、妻・乃り子さんの創作活動です。

  • 次作のアイデアをノートに書いて練っていた(篠原さんとは入りから全く違う)
  • 乃り子さんには「キューティーシリーズ」という作品群がある
  • ”アート漫画”とも呼んでいて、漫画のようにキャンバス上でストーリーが展開していく
  • 絵の主人公は乃り子さん自身である「キューティー」(キューティーはお金がないから、いつも裸)
  • 女性らしい繊細なタッチで、ポップさもある作風
  • 「キューティーシリーズ」は、篠原さんとの夫婦生活から生まれた、自伝的作品
  • 作品には、「ブリー」という篠原さんをモデルにしたキャラクターも登場する
  • 「人がどう思うかを考えていては、新しいものは作れない」というのが乃り子さんの持論
  • 未知に挑戦するわけだから、自分の勘と情熱に従うしかない(圧倒的な信念がある)

後日行われた、篠原さんの個展を訪ねました。

  • 絵やオブジェといった、最近の作品を展示
  • カラフルかつポップで、どれもエネルギーに溢れた作品ばかり(知らないで作者が87歳と聞いたらとても驚くだろう)
  • 取材時に書いていた白土三平の絵は展示されていなかった
  • あの絵については、書いたときは良かったが、後日はそう思えず中止にした
  • 個展にはニューヨーカー達も訪れていた
  • 皆一様に、篠原さんの作品からエネルギーやポップさを感じていた

篠原さんに、ちょうどボクシング・ペインティングの依頼が来ていたので、製作風景を見せてもらうことになりました。

上半身裸にゴーグル、そして手にはボクシンググローブという格好です。
絵具に拳を浸け、幅4~5mくらいのキャンバスに殴りつけながら描いてきます。

ディレクターは、「自分のスタイルを見つけるまでに、スランプとかってありましたか?」と質問しました。

篠原さんは、「毎日スランプだよ」と答え、「スランプがなければアーティストにはなれない」、「今も大スランプだよ」と続けました。

さらに、「生まれ変わっても芸術家になりたいですか?」と質問されると、「もちろん、すぐに生まれ変わって続きをやりたい」と答えました。

篠原さんは、芸術そのものが自分自身だと話し、また生まれ変わっても乃り子さんと結婚したいとも話されていました。

個性的なお二人でしたが、取材を通して、芸術についての考え方や信念という、アーティストとしての重要な部分を共有していることが分かりました。

この二人をドキュメンタリー映画にしたいと感じた人がいたのも、理解できました。とても魅力的なお二方でした。

今週の『クレイジージャーニー』は、以上になります。

クレイジージャーニー前衛芸術家篠原有司男と妻・乃り子がスゴイ!ボクシング・ペインティング まとめ

  • 篠原有司男さん(87歳)と妻・乃り子さんは、ともに前衛芸術家。
  • アメリカ・ニューヨークで出会い、41歳と19歳の時に22歳差を乗り越えて結婚
  • ニューヨークを拠点に創作活動を続けている
  • 自宅兼アトリエは家賃月50万
  • 篠原さんのアートは650万円や3枚で数千万の値が付いたこともある
  • しかし、コンスタントに作品が売れるわけではないので、経済的にはずっとギリギリの生活
  • それでも、アートから離れようと思ったことはない
  • 前衛芸術とは、未知に挑戦して、新しいものを生み出すこと
  • そのためには、人がどう思うかを考えてはいけない、自分の感覚と信念に従う(夫婦二人とも共通の考え方)
  • 篠原さんの作風はとても個性的で、筆の他にも手やスポンジなども使う
  • その最たるものが、代名詞でもある「ボクシング・ペインティング」
  • 乃り子さんのメインは「キューティーシリーズ」という作品群
  • 乃り子さん自身をモデルにした「キューティー」を主人工とし、キャンバス上で漫画のようにストーリーが展開される
  • 篠原さんは、芸術そのものが自分自身と語り、生まれ変わってもまた乃り子さんと結婚してアートをやりたいと語った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA