今回は、高校野球で導入される球数制限のメリットとデメリットについてまとめてみました。
高校野球で球数制限が導入されると、どのような効果があるのか気になりますよね。
そこで、球数制限について詳しく考察&解説しています。
さらに、同時導入される申告敬遠についても分かりやすく解説しています。
ぜひ、参考にしてみて下さい。
高校野球で球数制限するメリットとデメリットは?
それでは、高校野球で導入される球数制限について見ていきましょう。
- 1人の投手の投球数を1週間で500球までに制限
- 500球に達した時点での打者との対戦までは投げられる
- 2020年の春の選抜からルール適用
高校野球で導入される球数制限は、2020年の春の甲子園からはじまります。
ルールは、1投手につき1週間500球までです。
さて、球数制限が起きるとどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
メリット
①投手のけがを予防する効果
高校野球での球数制限は、投手のけがを予防する目的で導入が議論されてきました。
投手の球数とけがの関係性は、アメリカ・メジャーリーグ(以下MLB)で強く意識されています。
MLBでは、投手の投球数が多いほど、肘や肩の故障リスクが上がるという考え方が信じられています。
MLBに挑戦した日本人投手の故障についても、アメリカでは高校生以下のアマチュア年代での投球過多に原因があると指摘されてきました。
②投手を熱中症から守ることが期待できる
多くのドラマを生んできた甲子園ですが、近年は地球温暖化による熱中症対策にも注意を払わなければなりません。
夏の甲子園が行われる8月は、最近では普通に生活していても熱中症対策が必要になってきました。
厳しい猛暑の中、全力投球する投手にはより熱中症のリスクが高まります。
選手の健康を第一に考えた場合、球数制限は一定の効果が期待できるかもしれません。
③エース以外の投手のチャンス増加
高校野球では、これまで大エースが大会を一人で投げ切るのが当たり前でした。
しかし、球数制限が導入されることで、こうしたエース偏重の投手起用も当然変わってくるでしょう。
そうなると、登板機会が限られてきた控え投手にチャンスが多く回ってくることになります。
多くの投手にチャンスが与えられるようになれば、また新たな才能が出てくる可能性も高くなるかもしれません。
デメリット
①選手層の厚いチームが有利になる
高校野球には強豪と、そうでないチームがあります。
中には、試合ができるギリギリの9名で大会に臨んでいるチームもあります。
2018年の金足農業・吉田輝星投手のように、部員が少なくても大エースがいれば甲子園を目指すことができました。
しかし、球数制限が導入されると、こうしたシンデレラストーリーも見れなくなります。
以前にも増して部員の少ないチームは苦境に立たされることでしょう。
こうしたことから、継投できるだけの厚い選手層を持つ強豪校が有利になる懸念があります。
②待球作戦が増える懸念
球数制限があれば、なるべく早く多く投球させて、好投手を降板させようと考えるチームも出てくるでしょう。
このような待球作戦が増えるのではという、心配の声も多く聞かれます。
③エリートに偏った対策への疑問の声
球数制限は、特にプロで活躍する可能性のある選手を守るために導入される部分があります。
しかしながら、高校で野球を引退する選手もいるのです。
彼らは全力を出し切って引退したいのではないでしょうか。
高校野球をプレーしているのは、エリート選手だけではないという指摘も強くあります。
申告敬遠について
球数制限と同時に導入されるのが「申告敬遠」です。
詳しく解説します。
「申告敬遠」とは?
- 4球投げなくても敬遠と同じ扱いになる
- 数球投げて途中で申告敬遠してもいい
- 申告敬遠は無制限にできる
野球の敬遠とは、打者との勝負を避けて意図的にフォアボールで歩かせる行為です。
ただ、「どうせ歩かせるなら4球投げるのは無駄では?」という声が出てきました。
- 試合時間短縮
- 投球数の削減
申告敬遠は、MLBで導入されたルールで、目的は試合時間の短縮です。
加えて、4球投げる必要がなくなるので、投手の負担軽減というメリットもあるようです。
「申告敬遠」は本当に効果があるのか
- MLBとNPBで取り入れられたが、期待された試合時間の短縮効果は得られていない
- 敬遠も野球の駆け引きの一つであり試合の一部という声は依然として強い
- MLBでは申告敬遠見直しの議論も出ている
そもそも、野球の試合で敬遠する場面は、1試合の内に1回あるかどうかです。
その敬遠を省略したところで、短縮されるのは1分か2分程度。
日本より先に導入されたMLBでは、期待されたほどの時間短縮効果は得られていません。
次に、申告敬遠による投手の負担軽減です。
中には全力投球でないと敬遠球を投げられない投手もいます。
しかし、ほとんどの投手はキャッチボール以下の緩い敬遠球がほとんどです。
そんな敬遠球を省略したところで、いったいどれだけの効果が得られるのでしょうか。
敬遠球で故障するような投手は、シーズンを投げ切れないだろうという皮肉があります。
最後は、「敬遠も野球の一部」という意見です。
敬遠は強打者との勝負を避けるためのもの。
当然、相手チームのファンからは「卑怯者!」という声も飛び交います。
こうしたノイズもまた、野球の文化でした。
試合もより盛り上がります。
大して得られない合理性や効率性のために、野球文化を犠牲にする必要があるのかという疑問の声は導入前後で強いままです。
高校野球で申告敬遠が導入されると、かの有名な”松井秀喜の5打席連続敬遠”もなんだか味気ないものになってしまいます。
さて、どうなるのでしょうか。
以上、今回は高校野球の球数制限とそのメリットとデメリット、さらに同時導入される申告敬遠についてもまとめました。
まとめ
- 高校野球の球数制限は1週間500球まで
- 2020年の春の甲子園からルール適用
- 球数制限のメリットは、投手のけがと熱中症予防、エース以外のチャンス増加など
- 球数制限のデメリットは、部員の少ないチームが不利、待球作戦が増える懸念、エリート選手偏重の対策への疑問の声など
- 申告敬遠は、4球投げなくてもフォワボールと同じ扱いになる
- 申告敬遠は、試合時間短縮効果と投手の負担軽減が目的で導入された
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