サッカー、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(以下ユナイテッド)が好調です。
12月に指揮官が交代すると、それまでとは打って変わって公式戦10戦で無敗の快進撃を続けています。
前任者であるポルトガル人監督のジョゼ・モウリーニョからバトンを受けた新監督であるスールシャールは、現状では暫定監督扱いでありながら既にその手腕が評価され、ファンやクラブOBなどクラブ内外から来季も続投させるべきだとの声も上がっています。
2012-13シーズン限りでチームを27年間にも及ぶ長期にわたり率いた、サー・アレックス・ファーガソンが勇退してから5年間の間に、デイヴィッド・モイーズ、ライアン・ギグス(暫定)、ルイス・ファンハール、ジョゼ・モウリーニョ、そして現在のスールシャールと5人の監督が指揮官の座に就きました。
ファーガソン時代の栄光から比べるとクラブが迷走している印象が強い昨今は、ユナイテッドファンにはフラストレーションの溜まるものであり、またかつての偉大なユナイテッドを知るサッカーファンにとっても寂しさを感ぜずにはいられないものでした。
新監督スールシャールにはユナイテッドからなかなか去らない暗雲を振り払い、再び光をもたらすことが期待されています。
就任からのインパクトは絶大。#MUFC pic.twitter.com/LkSrPIyLYS
— マンチェスター・ユナイテッド (@ManUtd_JP) 2019年2月5日
マンU暫定監督スールシャールの出身や経歴は?
ぎょっとしてしまう名前ですが、これはスールシャールが現役時代から呼ばれている愛称です。
洗練されたゴール感覚とその技術、そして彼のベビィフェイスからこの異名が付けられました。
オーレ・グンナー・スールシャールは1973年2月26日生まれ(現在45歳)のノルウェーはクリスチャンスン出身です。
現役時代は主にマンチェスター・ユナイテッドでプレーし(1996-2007)、ポジションはFWとサイドのMF。
ほとんどはFWとして記憶されています。
彼のキャリアと言えば、ユナイテッドファンの間ではもちろん、サッカーファンの間でも語り草になっている、1999年のUEFAチャンピオンズリーグ決勝でのゴールでしょう。
ドイツのバイエルン・ミュンヘンと対戦したユナイテッドは、敗戦濃厚の状況だった後半ロスタイムに2ゴールを決め劇的な逆転勝利でヨーロッパチャンピオンに輝きました。
スールシャールはこの試合を決めるゴールを決めこの優勝に貢献しました。
この試合が思い出されるとき、スールシャールの名前は不可欠なものとなりました。
このヨーロッパタイトルによってこのシーズンのユナイテッドはトレブル(リーグ、国内カップ、ヨーロッパの三冠)を達成し、当時の同僚には日本でも知名度の高いデイヴィッド・ベッカム、ライアン・ギグスやポール・スコールズといったそうそうたる面々がいました。
スールシャールはこの黄金期のユナイテッドの一員だったのです。
2007年にユナイテッドで現役生活に終わりを告げると、2008年からユナイテッドのリザーブチーム(下部組織)の監督に就任します。
その後、2010年に故郷ノルウェーの自身も現役時代にプレーしたFCモルデで指揮を執りました。
一度モルデを離れた後に、再度2015年から昨年2018年まで監督を務め、監督としては珍しいレンタル移籍で現在マンチェスター・ユナイテッドの指揮官となりました。
シーズン終了までの期限つきながら、その手腕の如何によっては来季以降の監督としても期待されています。
マンU暫定監督スールシャールはいったい何を変えたのか
前任者であるモウリーニョは申し分ない実績とその手腕で世界的に有名な監督ではあったが、ユナイテッドではファンの期待や要求を満たすことはできませんでした。
ユナイテッドは伝統的に攻撃的にプレーすることを信条としています。
圧倒的な力で対戦する相手を捻じ伏せるその姿から”レッド・デビルズ”の愛称は付けられました。
モウリーニョ時代のユナイテッドのパフォーマンスは守備的で、攻撃では創造性が欠けているとの批判が絶えませんでした。
かつてのユナイテッドと比較すると、ピッチ上でのチームのパフォーマンスからはエネルギーや情熱が失われ、ユナイテッドであることを示すのはそのユニフォームのデザインだけでした。
一向に成績の上がらないチームにしびれを切らしたクラブ上層部はモウリーニョの解任を決断し、新指揮官とてスールシャールを招聘することにしました。
監督としてのキャリアや実績を考慮すると、スールシャールを選ぶことについてクラブ内外、ファンやメディアからは懐疑的な見方が相次ぎました。
しかし、蓋を開けてみればあれよあれよと公式戦10戦無敗。
スールシャールはその懐疑的な声に結果で答えています。
モウリーニョ時代はまるで鎖で繋がれたドーベルマンのようだった主力MFのポール・ポグバは、解き放たれたようにその攻撃センスを発揮しています。
前線から積極的に守備をして相手からボールを奪い返そうとする姿勢は、チームに活力とプレーする喜びを取り戻させました。
躍動する選手たちの姿に、かつての強かったユナイテッドを重ねて期待してしまうのがファン心理でしょう。
低迷していたユナイテッドの復活によってプレミアリーグの熱気もさらに高まっています。
これからのユナイテッドからも目が離せなさそうですね。
マンチェスター・ユナイテッド暫定監督で10連勝まとめ
世の中には表面的な出来の良さでは推し量れないものがあります。
伝統や理念などがそれ自体を雄弁に物語ることもあります。
ユナイテッドにおいても、単純に成績を上げるだけでなく、同時にクラブの伝統とあるべき姿が監督には求められ続けてきました。
中々それが理解できない者は去っていきました。
ユナイテッドとスールシャールは今はお試しの同棲期間ですが、その結婚がいいものになることをファンは望んでいるでしょう。
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