エース連投での投球過多問題、投手への負担減?高野連が休養日を増やす

2月1日から、いよいよプロ野球がキャンプインします。
この時期は毎年、各チームの新人選手が注目されますよね。

ですが、今年は例年以上にルーキーたちに焦点が当たりそうです。
というのも、2000年生まれの「ミレニアム世代」と呼ばれる高校生たちが高い評価を受けて、そろってプロ入りを果たしたからです。

春夏の甲子園で連覇した大阪桐蔭からは中日ドラゴンズ1位の根尾昂選手、千葉ロッテ1位の藤原恭大選手をはじめ4人の選手が指名されました。

また、日本全国に「金足旋風」を起こした金足農の吉田輝星投手は日本ハムに1位指名で入団しました。

ほかにも報徳学園の小園海斗選手(広島カープ1位)、花咲徳栄の野村佑希選手(日本ハム2位)、早稲田実業の野村大樹選手(福岡ソフトバンク3位)ら楽しみな高校生選手がそろっています。

彼らは皆、甲子園で活躍し、プロ入り前から名前が知られた選手たちです。

中でも昨夏の甲子園でブレイクした吉田投手の知名度は抜群です。
日本中に衝撃と感動を与え、一気にスター選手になりましたよね。

一方で大阪桐蔭との決勝は疲労困憊のため思うように投げられず、「投球過多」の問題が改めてクローズアップされました。

その反省もあったのでしょう。
日本高野連は30日、今年の夏の甲子園(全国高校野球選手権大会)について、休養日を現行の1日から2日に増やすと発表しました。

「第101回全国高校野球選手権大会」日程

今年の夏の甲子園「第101回全国高校野球選手権大会」の日程は、8月6日に開幕し、21日に決勝が行われます。

昨年まではまったく試合が行われない休養日は1日だけで、準々決勝と準決勝の間に設けられていました。
ですが、今年は準々決勝と準決勝の間、さらに準決勝と決勝の間に休養日がつくられました。

昨年の金足農の場合、準々決勝から決勝まで5日間で4試合を戦うという過酷スケジュールでした。
その中で毎試合先発し続けた吉田投手への負担は計り知れません。

近年は猛暑が続いていることから、球児の身体的軽減を目的に休養日が1日増やされたようです。

高校野球は投手にかかる負担が甚大、エース酷使の解決策か?

25日に出場校が決定した「センバツ」に続き、今度は夏の甲子園に関するニュースが飛び込んできました。

今年の夏に行われる第101回全国高校野球選手権大会の運営委員会が30日に開かれ、甲子園大会の休養日を現行の1日から2日に増やすことに決まりました。

近年の猛暑に対応し、球児の負担を軽減する目的があるようです。
特に投手の負担(エース酷使)を少しでも減らすための対策でしょう。

野球は投手というポジションにだけ負担が集中するスポーツです。
極端な言い方をすれば、野手は打って、守ってと試合中は「瞬間的なプレー」だけで済みます。

一方、投手だけは絶えず体を動かし続けなければいけません。
ですから、1試合の負担は野手の何倍にもなります。

プロ野球を見てください。
野手は当たり前のように毎試合出場していますが、投手、特に先発したピッチャーは一度登板すると次の出番まで5、6日空けるのが一般的です。
体が出来上がっているプロの選手ですら、これだけの休養を設けています。

高校生ではなおさら、故障をしないための対応を取らなければいけないはずです、ですが、現実はまったく逆のようです。

  • エース一人が何試合も投げる
  • 連戦連投
  • 炎天下の中での試合

などが、高校野球界の常識になっています。
では、いったいどうしてこのような状況が生まれるのでしょうか。

「負けたら終わり」がエース頼みをつくりだす

野球は「投手が8割」といわれるほど、ピッチャーの差が勝敗に直結します。
優秀な投手が長いイニング、何試合も投げるほうが勝ちにつながることは明確です。

優秀な投手が、同じ学校に何人も集まることはまれでしょう。

高校野球は甲子園を含めて、ほとんどが一発勝負のトーナメント戦です。
常に「負けたら終わり」であるからこそ、エース頼みにならざるをえない状況になっているのです。

また、「一人のピッチャーで勝ち抜く」というプロセスをメディアも大衆も求めてきたのは事実です。
PL学園と延長17回の死闘を演じ、決勝ではノーヒットノーランを成し遂げた横浜の松坂大輔投手(現中日ドラゴンズ)、ともに15回を投げ抜き37年ぶりの決勝引き分け再試合を演じた早稲田実業の斎藤佑樹投手(現日本ハム)と駒大苫小牧の田中将大投手(現ヤンキース)などが、最たる例です。

しかし、ここ数年で風向きは変わりました。

多くのチームが継投を取り入れ、何枚もの投手を用意し、一人に負担を負わせないようにしています。
このようにシフトチェンジしてきたかに思えましたが、昨夏の大会で再び「投げすぎ問題」が浮上することになりました。

ご存知の通り、金足農の吉田輝星投手の熱投です。
秋田県勢として103年ぶりに決勝に進み、日本全国にフィーバーを起こした金足農。

その活躍を今さら詳しくは説明しませんが、少しだけ振り返ってみましょう。
試合数は秋田大会から甲子園決勝まで11試合。

そのすべてで吉田投手が先発し、甲子園決勝をのぞく10試合で完投しています。
甲子園だけを見ても、球数は全部で881球。
特に三回戦以降は超過密スケジュールでした。

三回戦(8月17日)、準々決勝(8月18日)は連戦、1日空いて準決勝(8月20日)、決勝(8月21日)は再び連戦でした。
5日間で実に4試合。

大阪桐蔭との決勝は5回で降板することになりましたが、誰から見ても疲労困憊でした。
ちなみに優勝した大阪桐蔭は1回戦が柿木蓮(現日本ハム)、2回戦が根尾・柿木、3回戦が横川・柿木、準々決勝が根尾・柿木、準決勝が柿木、そして決勝が柿木と3人の投手をうまく使いまわして優勝を果たしています。

甲子園は過密スケジュール

各チームの事情とは別の問題もあります。
それは、大会の日程が過密だということです。

昨夏の甲子園でいうと、8月5日に開幕して、決勝は21日に行われました。
そのうち、試合がまったく行われなかったのは準々決勝と準決勝の間のたった1日しかありませんでした。

各チーム個別に見ていけば1、2回戦の間は5、6日ほど、2、3回戦の間は3、4日ほど空きます。

ですが、3回戦以降は多くのチームが休養日以外は連戦になります。
体力的にも精神的にもつらくなる終盤戦にかけて、試合日程が厳しくなるようになっています。

では、他の高校スポーツの場合はどうでしょう。

年末年始の風物詩である「全国高校サッカー選手権大会」ですと、今回は2018年12月30日に開幕し、2019年1月14日に決勝戦が行われました。

面白いのは高校野球とは全く反対の日程を組んでいる点です。
1回戦から準々決勝までは連戦、ないしは中1、2日で行われますが、準々決勝が準決勝までは6日間あき、準決勝と決勝の間にも1日休養日があります。

大会が盛り上がる終盤こそ、選手たちにベストパフォーマンスを発揮してもらおう、という意図を感じられますよね。

もちろん、各スポーツで試合の疲労度は異なりますし、一概に野球もサッカーのような日程にしろとは言いません。
休養日が長い分、中だるみしてしまって期間中の盛り上がりに欠ける懸念もあります。

さらに、甲子園はプロ野球阪神タイガースのホームタウンであり、高校野球が長い期間独占するわけにはいかない、という事情もあるでしょう。

そういう事も考えると、少しずつ改革していくことが良いのかもしれません。

ネットの声

高野連に対してかなり厳しいコメントがされていますね…

エース連投での投球過多問題、投手への負担減?まとめ

球児の負担軽減策として、昨年のセンバツからタイブレーク制度が導入されました。
さらに、今回新たに休養日を増やすことが決まりました。

夏の甲子園を舞台にした全国高等学校野球選手権大会は昨年第100回の節目を迎えました。
そして、101回目となる今年もまたドラマや感動が生まれることでしょう。

球児たちが全力でプレーできる環境を、運営側がつくりあげる努力を重ねることが大切ではないでしょうか。

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